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「承認」の仕方を、ロボット教室に学ぶ

公開日: : 最終更新日:2016/09/05 et cetera, 子供達の学ぶ心

 ロボット教室でのある生徒との会話。

 かなり作るのに苦労するロボットを前にして。
 もう少しで完成だが、最後のところで苦労している。

 若狭(以下、若)「これ、ここまで一人でつくったんだ、すごいね」

 生徒(以下、生)「うん」

 若「手を貸そうか?」

 生「うん」

 一緒に作業していたけれど、パーツが外れて、
 一旦分解して作り直さなければならなくなった。

 パーツの取付け位置をだいたい覚えている。
 今回のように、テキスト通りに造らず、一部だけやり直す時に外れやすいパーツも意識して手で押さえている。
 覚えていないところは、テキストの該当箇所を瞬時に探し出して、
 それを見ながらつくっている。

 3度やり直したが、愚痴らずくじけず、直そうとしている。

 若「ちゃんと理解しているからここまでできるんだね。
   2年くらい前に入会してきた最初から知ってるけれど、
   できるようになったことがいっぱいあるんだね。」

 生「うん。できるようになったこともいっぱいあるけれど、まだできないこともいっぱいあって・・・」

-----

 この生徒は、ゴム鉄砲や長い剣を作ってばかりいたり、遊んでばかりなので

 「そろそろ今月のロボットを作りなさい」

 と言われていたし、
 言われそうになると、教室から抜け出して別の部屋で一人かくれんぼをしていました。

 そんな生徒です。

~~~~~~~

 この記事は、「ほめる」と「承認」について書いています。

 上の会話で、「ほめる」と「承認」はどれに該当するでしょうか?

~~~~~~~

★分析

 「ほめる」
   ・「これ、ここまで一人でつくったんだ、すごいね」

 「承認」
   ・完成前の状態で認めている。
   ・「手を貸そうか?」と、生徒が一人でできることを前提にした言葉。
   ・判断を生徒に委ねている。
   ・若狭が見かねて代わってやらずに、本人にさせている。
   ・ところどころで手を貸している。
   ・「ちゃんと理解しているからここまでできるんだね。」
   ・「できるようになったことがいっぱいあるんだね。」
   ・それに対する反応をしっかり観察して受け入れている。

★結果

 その結果、生徒は自分の今の課題を話し始めた。

~~~~~~~

 こう見ると、「承認」は、

   ・どんな状態を前にしてもできる。
   ・現状までの、行動、努力を認めること。
   ・相手の主体性、意志を尊重すること。
   ・見守っても、手を貸しても、どちらも承認。
   ・自分が知っている一番古い時からの変化を伝えること。
   ・「相手が喜ぶ」などの波を起こさず、むしろ平坦な会話で思いを引き出している。

 その結果、おそらく

   ・できるようになったことを家や学校で数えてみる。

   ・若狭の評価(次回ほめること)を期待した行動といった考えをせず、
    自分が決めた目標に向けて努力する。

   ※「ほめられることを期待した行動」とは、
    できるだけ目立つようにしたり、ほめられやすいものを作ろうとしたり、
    見られているところで張りきったりする、など。

   ・来月新しいロボットになっても、自分の気持ちに素直に反応する。
    おもしろそうだ、と思ったらのめり込むし、
    つまらない、と思ったら、一応の義務として取り組む。

 のだろうと推測します。

~~~~~~~

 ロボット教室での、僕のコミュニケーションのルールです。

   ・普段から僕は、生徒に対して、「ありがとう」と
    「ごめんなさい」を言います。

   ・気づかいをしてくれた生徒には、肩に手を置きながら
    「ありがとう」と言います。

   ・生徒から「ありがとう」と言われたら、
    「どういたしまして」と返します。

   ・ある生徒がパーツを別の生徒に拾ってもらった時には、
    「ありがとう」と言うよう促します。

   ・名前を覚えて、小学生までは下の名前、中学生以上は
    名字で呼びかけます。

   ・ダメなことをした時には本気で叱ります。

   ・叱る時には、理由もしっかり言います。

   ・「生徒を守る」を、行動で示します。
    「ほかの生徒の権利を侵害する」生徒をきちんと叱ります。
    (やっていいことと悪いことの基準を伝える)

   ・時間が始まってもロボットを作り始めない生徒がいても、
    15分間くらいは自由にさせています。

   ・「手伝って」と言われても言われなくても、
    生徒がロボットのパーツに触れる時間になるよう、
    目の前のパーツに次第に集中するように、
    雑談をしながらパーツの分解を手伝います。
    (生徒と二人で共同体意識を持てる)

   ・ロボットつくりを手伝うときには、生徒より先に進まない。
    (誰の責任でやるのか、実感で理解させる)

   ・話した話題は、できるだけ覚えておきます。

   ・生徒の家族の話題を話す時は、すごいと思っていること、
    センスがいいと思っていること、ありがたいと思っていること
    を伝えます。
    (否定的なことを言わない)

~~~~~~~

 「ほめる」よりも「承認」をすることで、
 生徒はこんなことを考え、こんな状況じゃないか、と思うのです。

   ・その場を「安心」と感じる。

   ・自分の興味に向き合える。集中できる。

   ・「自分に集中してもよい場」と安心感を持つ。

   ・他者からの評価をあまりに大切に考えすぎない。

   ・他者尊重を学ぶ。

   ・「主体的に考えろ」と言われなくても、普段から考えている。

 「承認」の成果は、長期間にわたって観察続けないとわかりにくいかもしれません。
 でも、コーチングでいう、

   「セッションとセッションとの間の時間が大切」

 そのままです。

 華々しい成果がすぐには出なくても、声を掛け続けられますので、
 「承認」は本人が納得できる成果を出すことができる、といえそうです。


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    若狭 喜弘(Yoshi:よし)
    です。

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